豊田市荒井町の兵主神社<豊田市寺社巡り第4回>

 豊田市寺社巡りの第4回は、荒井町松島にある兵主神社(地図)です。

 兵主神社(ひょうずじんじゃ)というと、兵庫県姫路市にある射楯兵主神社がよく知られている。
 その他、大阪や奈良、滋賀、岡山など、圧倒的に西日本の神社で、東日本にはほとんどないのではないかと思う(私が知らないだけかもしれない)。
 そのほとんどが延喜式内社というのも特徴的で、長崎県壱岐にある同名神社は名神大となっていることから、ただ古いだけでなく格式の高い神社ということになる。

 ここ豊田市の兵主神社もまた、延喜式神名帳に載る古社(三河国賀茂郡)とされる。
 しかし、途中で移されたようで、現在の神社から古社臭さといったものはあまり感じられない。
 ただ、何か秘めた神社だという気はした。
 正体というか実体はよく分からない。
 他のどの神社にも似ていない独特のものも感じられた。




 大物主命が主祭神で、相殿に三穗津姫命を祀るという。
 大物主といえば大和の三輪山の神だから、西日本に兵主神社が多いのは理解できる。
 ただ、社名が兵主なのが引っ掛かる。
 大物主と兵主では主つながりででしかなく、兵は単純に捉えると兵士や軍事を意味しているのではないか。
 西日本に偏っているとはいえ、10社以上も同名神社があって、多くが延喜式内社となれば、必ず共通項はある。
 その正体が見えないのがなんだかモヤモヤする。

 豊田市の兵主神社については由緒書があるので載せておく。

矢作川と籠川の合流する荒井町の国道153号線の東側の杜が兵主神社。
延喜式にも名の見える由緒の深いお宮である。
本来の位置は荒井と梅坪の中間の位置、 通称大島にあったと伝えられている。
鳥居の額にも大島大明神とあるように、篭川の流れが矢作川の注ぐ付近で2つに分かれ、島を作っていたが、 この島にあった神社が現在地に移されたものと言われている。
祭神は大物主命である。大物主命は出雲神話で名高い大国主命のことで、この外、大穴牟遅神、葦原色許男神、八千矛神 、宇津志国玉命などと称されている。
大名持の名のように功績の多くとか、威力のあるとか言った日本国土を治める強い人の意味を言う。
日本の神話における中心となる神であるが、その働きは国内平定、国土経営修理、天下巡行、農学、国土の保護と医薬温泉の神とも言われ、まさにオールマイティな神様である。
兵主神社の祭神としてはまことに名が体をあらわした神様といえよう。

 誰が書いたか知らないけど、けっこういい加減なことをいっている。
 大物主と大国主を同一視する説がないわけではないけど、個人的にそれはないと思っている。神様としての性格が違うし、本拠となる場所も違う。
 この中で興味深いのは、もともと篭川と矢作川の合流地点近くに島のようなところがあって、そこに祀られて大島大明神と呼ばれていたという点だ。
 川の合流点で大島ということはないだろうけど、中島のようなところに祀られていたというのはあり得ることだ。
 ただし、社伝がいうように崇神天皇時代まで遡るかというと、ちょっとどうなんだろうと思う。
 川の合流点は非常に不安定な場所で、古代からずっとそこに鎮座していたというのは考えにくい。
 実際、現在地に移されたのは川の氾濫が原因だったという。
 それなら水の神や龍神でも祀りそうなのに、どうして大物主だったのか。

 もう一つ気になるのは、三穗津姫の存在だ。
 高皇産霊尊の娘で大物主の妻神とされているので不自然ではないのだけど、三穗津姫を祀る神社は名古屋にはない。
 大物主を祀る神社は三輪社系にいくつかあるも、三穗津姫は祀られない。
 三河で三穗津姫を祀っていることの意味は小さくない気がする。この地に何かゆかりがあるのだろうか。

 賀茂氏との関係も重要なポイントではあるのだけど、これ以上追求すると長くなるので、今回はここまでとしたい。


 境内がおかしなことになっている。
 入り口は西にしかないのだけど、南にも鳥居がある。
 しかし、南には入り口がなく、塀の向こうには建物が建っている。
 かつては南入口があったのかもしれないけど、どういうわけか社殿が南西を向いている。
 境内地の関係で南向きにできなかったわけではないからあえてそうしているのだろう。
 南西には籠川と矢作川の合流点があるから、その関係だろうか。





 境内に無駄地みたいなのがあって、その何もない空間が気になった。
 地形的な盛り上がりはないから古墳ではないだろうけど、ここ全域が遺跡なのではないかと思った。
 近くで高橋遺跡や舩塚古墳なども見つかっているし、なにかありげな土地だ。

【アクセス】
名鉄三河線「越戸駅」より徒歩約17分

【駐車場】
なし


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