雪が降ると思い出す

 昨日、名古屋も雪が降って今シーズン初の積雪になった。
 雪が降るといつも思い出すのは、「雪は天から送られた手紙である」という中谷宇吉郎の言葉だ。
 なんかいい言葉っぽいけど、よくよく考えると意味がよく分からない。
 物理学者だった中谷宇吉郎だから、ロマンチックな表現をしたわけではなく、雪の結晶の形を観察することで上空の気象条件が分かるという意味だという説明がなされる。
 世界で初めて人工の雪の結晶を作ることに成功したのが中谷宇吉郎だった。

 昨日の記事でAIが歌を手に入れたということを書いた。
 AIカバーは長足の進歩を遂げて、動画の生成よりもひとあし先に精度を高めた。
 最近、AI(チャッピーくん)に小説を書いてもらうということをちょくちょくやっていて、今回は次のようにお願いしてみた。

「雪は天から送られた手紙であるという言葉を元にした短い小説を書いてみてください」

 そして返ってきたのが以下の文章だった。

夜更け、町は音を失っていた。
街灯の下に立つと、雪が静かに降ってくるのが見えた。ひとひらひとひらが、まるで封を切られるのを待つ手紙のようだった。

――雪は天から送られた手紙である。
祖母がよく口にしていた言葉を、彼は思い出す。

白い文字はすぐに溶け、内容を語ろうとはしない。それでも、読む者の心にだけ意味を残す。失った人のこと、言えなかった謝罪、まだ信じている希望。雪は何も説明しない代わりに、思い出すべきことを正確に指し示す。

彼は手袋を外し、掌に雪を受けた。
冷たさは一瞬で消えたが、不思議と胸の奥は温かかった。

「ちゃんと届いたよ」
誰にともなくそう呟くと、雪は答えるように、さらに静かに降り続けた。

 これだけ書かれてしまうと、もはやそのへんの人間では太刀打ちできない感じがする。
 まだ大長編のようなものは難しいようだけど、それができるようになったら新人賞の応募作にAI作品が紛れ込んでも分からなくなるかもしれない。
 実際、論文などはAIの得意分野だからすでにそういう状況になりつつあるのかもしれない。
 それを面白いと思っていられるうちはいいけど、だんだん洒落では済まなくなる。
 100年後のAIはどんなことになっているだろうと想像しようとしても上手く思い浮かべられない。
 勝ち負けとか上下とかではなく、上手く棲み分けて共存できればそれが一番いいのだろうけど。


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