
生きるほどいろいろなことが分かるようになっていくと思っていた。
若い頃の自分は確かにそう信じていた。
それは間違いではなかったのだけど、一方で分からないことも増えていった。
そしてある一線を越えたとき、すべてが分からなくなった。
今はもう、何も分からない。
分かったつもりでいたことはすべて幻想のようなもので、何もかもを見失っている。
分かったのは、分からなくても生きていけるということだ。
冷蔵庫の仕組みは分からなくても使うことはできるみたいに。
分からないという感覚は一時的なものなのか、この先もずっとそうなのか。
あるいは、ある日を境に劇的に分かるようになったりするのだろうか。
分からないことが分かっただけでも生きた甲斐があったといえばそうなのだけど。

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