扉の両面

 入り口は出口で、終わりは始まり。
 玄関の扉は家の中から見れば出口だし、外から帰ってきたら入り口になる。
 鉄道の終着駅は、反対方向の始発駅だ。
 死はこの世界の終わりであり、あの世の始まりでもある。

 一つの出来事には別の面があるということだ。
 その視点を持つことが大事で、複数の視点を持っていると物事をよく理解できるだけでなく、生きることが少しは楽になる。
 自分の不幸も別の面がある。悪いことばかりではない。
 病気でもいいことはあるし、自分の損は誰かの得になっている。

 これは論理のすり替えではないし、強がりでもない。
 もう一歩進めて考えるならば、自分の幸せは誰かの不幸の上に成り立っているかもしれず、喜んでばかりもいられないということになる。
 自分の痛みを知るように、他人の痛みにも思い至らなければならない。

 物事には両面がある。
 良い面も悪い面も。


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