昔はよかったと言う人がいる。
　昔はもっとエネルギッシュで寛容だったと。
　けど、その寛容さと無邪気さに嫌気が差して今の時代があるんじゃないのか？

　セクハラもパワハラも誰も疑問に思わず、暴力も体罰も当たり前だったあの時代。
　弱者は泣き寝入りで、女性の権利や地位など二の次三の次だった昭和時代が正しかったなど、どの口が言えるのか？

　今の時代は確かに寛容ではない。ある意味では厳格な社会だ。
　間違いを犯せば叩かれ、ちょっとした失言でも袋だたきにあう。
　けど、これも一つの時代性であり、これはこれで否定されるべきことではないと私は思っている。

　かつて弱者だった人たちにとって、昭和よりも令和の方が生きやすかったりするはずだ。
　許し合う社会では上手くいかなかった。
　だから裁き合う社会になった。
　これはひとつの正統な進化であり、社会的な成長だ。

　これでも上手くいかないとなれば、また違う世の中になっていく。
　そのうち人々は厳格さに疲れるだろう。

　私個人の思いとしては、昔はよかったなど絶対口にしたくはない。
　この先どんな時代になろうともだ。