この街に生きること

 ふと立ち止まって街並みを眺めてみる。
 家やマンション、店舗、通り過ぎる車や道行く人たち。
 街を構成する99パーセント以上に自分は関わっていないことに気づく。
 自分とは無関係なところで世界は動いているということだ。
 そのことがちょっとおかしかったり不思議だったりするのだけど、一方であちらにもこちらにも思い出の場所がある。
 あのときあの子と一緒にあの店に行ったなとか、あの道を通ったときはどうだったとか。
 それが慰めでもあり、救いでもある。
 街並みは変わり、自分を取り巻く状況も変化する。
 思い出の店もいつの間にかなくなっていたりもする。
 それでも私は今もここにいて、この街で生きている。
 それが大事なのだと思う。


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