
先週、お仲間たち総勢5人で琵琶湖へ行ってきた。
目的の一つは竹生島に渡ることだった。
竹生島は琵琶湖北部に浮かぶ小さな無人島で、周囲は2キロほどしかない。
しかしながら標高は198メートルなので、ちょっとした小山だ(名古屋最高峰の東谷山も198メートル)。
琵琶湖が好きでこれまで何度か訪れている。
初めて行ったのは車を買って間もない大学生の頃で、琵琶湖を一周してみようと思い立って一人で行ったのだけど、あまりの広さと遠さに途中で泣きそうになった。
再訪したのはそれほど昔ではなく、2008年のことだった。ただし、そのときの目的は琵琶湖そのものではなく、長浜とか安土城とかを見るためだった。
その後、撮影のために奥琵琶湖周辺を歩き、それ以外にも2度ほど訪れている。
いつ行っても何を撮っても絵になるところで、何よりも被写体としての琵琶湖が好きだ。
そんな中、琵琶湖の離島はずっと気になっていて、いつか訪れたいと思っていた。
沖島ではなく竹生島にしたのは、何かの話しをしているときたまたま竹生島の話題が出て、行ったことがないから行きたいといったら皆も行くというので今回実現に至ったのだった。
しかし、まさかあんなことになるとは思いもしなかった。

名古屋方面から行く場合、当然ながら長浜港から船で向かうことになるのだけど、今回は対岸の今津港から向かうことにした。
というのも、船酔いの心配があるメンバーがいて、少しでも乗船時間が短い方がいいということで西岸の今津港に回ったというわけだ。
5分くらいしか違わないのだけど、少しでも短い方がいいというのでそうした。
その後巡った場所や収穫からしてその判断は正しかった。
竹生島クルーズ(公式サイト)というのが名称らしい。
3隻あるうち、我々が乗ったのは、いんたーらーけん号というやつだったと思う。
座席120席で、まあまあ大きな船だ。
日間賀島や佐久島へ行く船より大きい。
大きいほど揺れは少ないので助かる。
それに、琵琶湖はいくら広いといっても海ではないので波も穏やかだ。船酔いの心配はまったくなかった。
今津港から徒歩2分くらいのところに無料駐車場がある。
船賃は往復で3,200円。
竹生島上陸は600円。
ちょっと高いかなとも思ったけど、河和から日間賀島や篠島へ行くのも1,600円だから変わらない。

実は行く前から天気の心配があった。予報では曇りのち雨で、風速は5メートルから6メートルという予想だった。
風が出ると欠航になるようで、実際前日は雪も降って欠航していたようだった。
しかし、現地に着いてみるとよく晴れていて風もそれほどでもなかったので安心した。
ただ、午後から風が強まるということで、10時45分出港で帰りは12時30分が最終と告げられた。午後から今津発はこの時点で欠航が決まっていたらしい。
でもまあ出港さえすれば大丈夫だろうと心配はしなかった。岸辺は波も穏やかに見えた。

左手に見えていたのはどのあたりの山だったか。比良山とか比叡山の方だろうか。
うっすら雪を被っている。
計画では午後は延暦寺に行けたら行こうということになっていたのだけど、それは実現しなかった。

沖に出るとにわかに波が高くなってきた。
船の揺れはさほどではないものの、少し不安になる。

三角形の印象的な山が見えていて何山か分からなかったのだけど、遠くに見えていたのは三上山だったらしい。
上の写真の山もきれいな形をしているけど、名前は知らない。

20分くらいすると竹生島が近づいてきた。
思った以上に切り立っている。こちら側からはとても上陸できそうにない。
無人島ということは人が暮らせる環境ではないのだろう。
もう一つの離島の沖島には250人ほどが住んでいるそうだ。

さあ、いよいよ竹生島上陸だと、立ち上がろうとしたら、最初に降りようとした人が係員に止められている。
なんだろうと思ったら、上陸中止ですという。
上陸中止? ん? どういうこと? と思う。
港を見ると、吹き流しが真横になって激しく吹かれている。
どうやら強風で上陸は不可ということになったらしい。
そんな馬鹿な。
しかし、船内ではえーーー! というような声も上がらず、ごねたりする人もなく、皆あっけにとられておとなしく座っていた。人間、あまりにも予想外のことが起きるととっさにリアクションができないものだ。
状況が上手く飲み込めないものの、とにかく上陸はできないのでこのまま引き返すという。
ホントかなと思う。
朝一で行って上陸した人たちと売店の人を乗せて船は竹生島を後にした。
遠ざかる竹生島を見て、心の中であああーと言った。
これって、竹生島に行ったことにはならないよね?
いや、行ったには行ったけど、やっぱり行ってない。
帰りの船内は微妙な空気が漂っていたのだけど、それを申し訳ないと竹生島の弁天さんが思ったのか、琵琶湖にきれいな虹を架けてくれて船内は華やいだ。

竹生島には弁才天を祀る宝厳寺と都久夫須麻神社がある。
船はそれらが見える裏手側に回ってくれて遠巻きながら眺めることができた。
車中遙拝なららぬ船中遙拝で満足することにした。
そして、驚いたことに、今津港に戻ると上陸できなかった人は往復の船賃を返金してくれたのだった。
でも往復乗ってるしなと思いつつ、返してくれるというのでありがたくもらっておいた。すごい太っ腹というか良心的だ。
こうまでしてくれたらもう一度行かないわけにはいかない。
我々もまた来ようと約束して今津港を後にした。

今津港近くの通りは旧街道の面影を残している。

この日は一日中、晴れたり雨が降ったりと天気が変わり、虹も長く出ていた。
琵琶湖行きシリーズは続きます。

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