善良の種

 善良さというのは、絶望の淵ギリギリで踏みとどまって初めてしんわり滲み出てくるようなものだ。
 気づいたら持ってたなどという性質のものではなく、大っぴらに見せびらかしたり振り回したりするようなものでもない。
 むしろバレたら恥ずかしいもので、悟られないように秘めてこそ価値がある。
 あなたいい人ねなんて言われているようではまだまだ本物ではない。
 善良というのは貴重なもので、壊れ物のように大切に扱うものだ。
 心の中に善良さの種が一粒あれば、そこから芽を出し、花を咲かせ、実を付けることもある。
 大事に育てないと。



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