多様性という危うさ

 多様性って、わりと危険な思想だ。
 耳障りがいい言葉だし、言い訳にも攻撃に使えて便利でもある。
 ただ、使いどころを間違えると凶器になりかねない。
 特に弱者が武器として振り回すのは危うい。
 たとえば暴力による解決も多様性の一つなどと言い出したとしたらどうだろう。
 古い考えも、新しすぎる価値観も、斬新すぎる発想も、すべて多様性としてしまうと、もはや何でもありで収拾がつかなくなる。

 この世界の本質が多様性にあることは間違いない。
 良くも悪くも均一的ではないし画一的でもない。
 人それぞれの違いを個性として認め合うことも大事だ。
 ただ、そこには互いを尊重し合う態度だとか、意見の相違を話し合いで解決する姿勢が必要で、多様性という言葉一つで片付けてしまっていいわけがない。
 多様性は自由に似ている。
 どちらも何をしてもいいというわけではない。

 私は多様性なんて言葉は口にしたくないし、モメ事のときに持ち出さない方がいいとも思っている。

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